インテリアコーディネーター試験で出題される
建築基準法の「居室」について覚えよう!
居室
居室とは、居住や作業、娯楽などの目的のために継続的に使用する部屋のことをいいます。
居室の天井高・床高
居室の天井高
居室の天井が低いと、採光や換気が十分にできなくなったり、立って歩くことができなかったりして、生活をする上で不便を感じます。
そこで、建築基準法は居室の天井の高さは2.1m以上と規定しています。
同じ部屋で天井の高さが異なる場合は、平均天井高を天井の高さとします。平均天井高は居室の体積を居室の床面積で割って求めます。
居室の床高
木造建築物の場合、居室の床高は45cm以上と規定しています。
さらに、外壁の床下部分には、換気孔を設けます。換気孔には、ねずみの侵入対策が必要です。
この規定は湿気を防ぐことが目的なので、床下にコンクリートなどの防湿対策がされている場合は、適用されません。
居室の採光
建築基準法では、居室には採光に必要な開口部(ドアや窓)を設けることを規定しています。
住宅の居室では、有効採光面積が部屋の床面積の1/7以上なければなりません。
有効採光面積は建物の用途によって変わります。幼稚園や小学校の教室では、部屋の床面積の1/5以上で、住宅の居室よりも多くの窓が必要になります。
光が入る量は窓の位置で変わります。また、窓があっても、隣地の建物の影響で窓から光が入らない場合もあります。そのため、有効採光面積は開口部の面積に採光補正係数を掛けて求めます。
同じ大きさの窓でも、天井に近い方が、部屋にたくさんの光が入るので、採光補正係数が大きくなります。天窓(トップライト)は、採光補正係数を「3倍」にできます。
有効採光面積は居室ごとに確保しなければなりません。しかし、襖(ふすま)、障子などの建具で仕切られている場合、2つの居室を1つの居室とみなして取扱うことができます。
居室の換気
居室には、換気窓(換気に有効な開口部)を居室の床面積の1/20以上か、換気設備を設けなければなりません。
【換気窓】
換気窓は窓の形状によって、換気に有効な面積が異なります。
【換気に有効な面積】
両開き窓:1倍
引き違い窓:1/2倍
はめ殺し窓(FIX窓):ゼロ
【換気設備】
第1種換気:給気・排気とも機械式のファンで行う
第2種換気:給気のみを機械式のファンで行う
第3種換気:排気のみを機械式のファンで行う
第1種換気は給気・排気ともに機械式のファンで行うので、高性能で高価です。
第2種換気は機械式のファンで外の空気を取り入れ、部屋の空気が多くなり(正圧)、押し出される形で排気口から出て行きます。手術室やクリーンルームで使われることが多く、住宅でほとんど使われません。
第3種換気は排気を機械式のファンで行います。機械で部屋の空気をどんどん外に出すので、部屋の空気が少なくなり(負圧)、外の空気が自然と入ってきます。厨房やトイレなどに設置されます。
シックハウス対策
建築基準法ではシックハウス対策が規定されています。
①クロルピリホスの使用禁止
クロルピリホスはシロアリ駆除剤として使われていましたが、居室を有する建築物での使用が禁止されました。
②内装仕上げの制限
ホルムアルデヒドを発散する建築材料は、JIS(日本工業規格)・JAS(日本農林規格)で4種類に区分されています。
F☆☆☆☆(フォースター)は規制の対象外なので、制限なしに使えます。
③換気設備設置の義務付け
ホルムアルデヒドは建築材料だけなく、家具からも発散されるので、居室には原則として24時間の換気設備の設置が義務付けられています。
換気回数は、住宅の居室では「0.5回/h」以上です。
④天井裏などの制限
居室だけなく、天井裏も規制の対象になります。天井裏から居室にホルムアルデヒドが入ってくるのを防ぐために、建材(F☆☆☆以上)や換気装置による措置が必要になります。
気密層又は通気止めを設けて天井裏と居室を区画すれば対象外にできます。
建築基準法ではアスベスト(石綿)も使用禁止しています。
アスベストは天然の繊維状の鉱物で、熱や摩擦などに強く、建築材料としてよく使われていました。しかし、飛散したアスベストを吸い込んで肺がんを発症するなど、健康に影響を及ぼすため、現在では使用が禁止されています。
地下室
地下室(地階の居室)は天井の高さの1/3以上が土の中に埋まっている部屋のことをいいます。
地盤面から天井までの距離が1m以下なら、床面積の1/3まで容積率に算入されません。
地下室には防湿対策が義務付けられています。
【防湿措置】
①ドライエリア(からぼり)を設ける
②換気設備を設ける
③除湿設備を設ける
建築基準法④建築確認申請・高さ制限・階段・手すりはこちら