プラスチック
プラスチックは石油が主な原料の合成樹脂です。
プラスチックには、「加熱すると溶けて、冷ますと固まる熱可塑性樹脂」と、「加熱すると固まる熱硬化性樹脂」があります。
熱可塑性樹脂は汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチックに分けられます。
エンジニアリングプラスチックは、耐熱性(耐熱温度が100℃を超える)や強度などが優れてた材料です。従来型の樹脂と金属との中間的位置にある樹脂です。
さらに性能が強化されたスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)もあります。
熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂は、加熱すると溶けて、冷ますと固まります。
ポリエチレン樹脂
ポリエチレンは最も多く生産されている樹脂です。比重が小さいので、水に浮きます。
耐衝撃性、耐薬品性が優れています。
ブロー成型(中空成形)で、イスの背や座などが作られます。ブロー成型(中空成形)は、金型に樹脂を入れて、内側に空気を吹き込んで成型します。
ポリプロピレン樹脂
非常に軽い樹脂です。多くの日用品に使われています。
家具では、イスの背裏カバー、肘、背座芯材などに使われています。
ポリ塩化ビニル
テーブルのエッジ材、水道管(塩化ビニル管)や、ビニール壁紙(ビニールクロス)の原料などに使われています。
ABS樹脂
アクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)、スチレン(S)からなります。3つの物質の割合で性質が変わります。
耐衝撃性、強度、加工性に優れています。
アクリル樹脂
メタクリル樹脂とも言われます。耐衝撃性があり、成型が容易です。
透明度が高いので、水族館の水槽にも使われています。
アクリル樹脂を使ったデザイナーズチェアに、倉俣史朗(くらまた しろう)の「ミス・ブランチ」があります。
ポリアミド樹脂
一般にナイロンとも呼ばれます。水より重く、 耐摩耗性、耐薬品性、潤滑性に優れています。
イスの脚先のキャップやキャスターの車輪などに使われます。
ポリカーボネート樹脂
極めて高い耐衝撃性があり、透明で、耐熱性に優れています。
収納家具の扉、照明器具のグローブなどに使われています。
熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂は加熱すると固まります。
フェノール樹脂
耐熱性、寸法安定性、電気絶縁性に優れています。耐水合板用接着剤、イスの座(合板に含浸させて強化したもの)などに使われています。
不飽和ポリエステル樹脂
イスの座、浴槽、防水パンなどに使われています。
ポリエステル化粧板は、メラミン化粧板ほどの耐熱性・耐水性・表面硬度はありませんが、メラミン化粧板より安価です。収納家具の棚板など、キズが目立ちにくい箱の内側に使われることが多いです。
不飽和ポリエステル樹脂にガラス繊維などの繊維と組み合わせると、軽くて強度が優れたFRP(繊維強化プラスチック)が得られます。
メラミン樹脂
表面硬度が高く、耐熱性、耐水性、耐薬品性が優れているので、テーブルの表面材(メラミン化粧板)などに使われます。
ポリウレタン樹脂
塗料、接着剤、シーリング材、断熱材、繊維、合成皮革などに使われています。
発泡剤をまぜるとクッション材(ポリウレタンフォーム)として使われます。
卵のようなデザインのエッグチェア(アルネ・ヤコブセン)の素材は硬質発泡ウレタンです。
FRP(繊維強化プラスチック)
ガラス繊維やカーボン繊維などの繊維とプラスチックを混ぜて、強度をアップした複合素材です。繊維と樹脂の組み合わせによって、さまざまな素材が作られます。
ガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂の組み合わせが一般的です。
浴槽や一体成型のイスなどに使われます。
デザイナーズチェアでは、チューリップチェア(エーロ・サーリネン)やパントンチェア(ヴェルナー・パントン)などがFRPでできています。
パントンチェアは開発当初はFRPでしたが、100%リサイクルが可能なポリプロピレンに変更されました。
WPC:木材・プラスチック複合材
木とプラスチックを混ぜたものをWPC(木材・プラスチック複合材)といいます。
WPCの「C」が「Composite」とされるものと「Combination」とされるものがあります。どちらにしてもWPCは木とプラスチックを混ぜた材料ということになります。
WPC(Wood-Plastic Composite)は、木粉とプラスチックを混ぜたものです。
WPC のうち、リサイクル材料(廃材や鋸くず、廃プラスチック)を原料にしたものはWPRC(Wood-Plastic Recycled Composite)と呼ばれます。WPRCはJIS規格で規定されている材料です。
木材とプラスチックの両方の性質を持っている材料です。デッキ材などに使われます。
WPC加工(Wood Plastic Combination)は、木材の空隙に樹脂を流し込んで硬化させます。耐摩耗性に優れ、表面に傷が付きにくくなります。