今回は玄関、浴室・洗面所、トイレ、キッチンの
バリアフリーについてだよ
【住宅のバリアフリー①】(廊下・通路、階段)はこちらをご覧ください。
玄関のバリアフリー
スロープの設置
玄関にスロープを設置すると、車いすの方だけでなく、ベビーカーを利用する方も楽に移動できます。
スロープの勾配はできるだけ緩やかな方がよく、1/12~1/15以下になるようにします。
(建築基準法で定められている最低限の基準は1/8以下となっています。)
玄関入口の有効幅は、750~800mm以上必要です。
車いすを利用する場合の玄関扉は、体の移動動作が少ない引き戸が適しています。
玄関扉の前には、方向転換をするためのスペース(1500mm×1500mm以上)が必要になります。
玄関の段差
沓摺とポーチとの段差:20mm以下
沓摺と土間との段差:5mm以下
上がり框と土間との段差:180mm以下
上がり框と土間との段差が180mmを超える場合は、式台を設置して、大きな段差を解消します。
上がり框に、縦手すりと横手すりを設置すると安全に昇り降りができます。
浴室・洗面所のバリアフリー
65歳以上の年齢層の住宅内での事故死は、浴室で多くみられます。事故を防ぐための対策が大切です。
高齢者等配慮対策等級の等級5・4の基準では、介助スペースを考慮して、浴室の内法寸法は1,400mm以上で、かつ面積は2.5㎡以上とされています。
浴室の扉を引き戸にすれば、開閉スペースが必要なく、弱い力でも開け閉めができます。
浴槽の高さを400~450mm程度にすると、またぎ越しでも、浴槽の横に腰を掛けて座った状態での出入りでも、使いやすくスムーズです。
洗面所の水栓は、手を差し出すと水が出る自動水栓や、操作が簡単で握力の弱い方にも使いやすいシングルレバー式の混合水栓がおすすめです。
車いすの方が使う洗面台は、下の収納スペースをなくすと、車いすでも近づけて、使いやすくなります。
浴室内での転倒事故を防ぐため、浴槽や床は滑りにくいものや、水はけの良いものを使用し、壁や浴槽内に手すりを設置すると安全に入浴ができます。
ヒートショック
冬場のお風呂で多く発生するヒートショックは、急激な温度変化によって、血圧が大きく変動し、心臓や血管などに悪影響を起こします。
ヒートショックを防ぐために、浴室や脱衣所に暖房設備を設置することが効果的です。
浴室に設置する暖房設備には、換気機能や乾燥機能を持つものもあります。
出入口の段差
段差なし(5mm以下)にするか、20mm以下の単純段差とします。バリアフリー基準では、5mm以下は段差なしとみなされます。
段差なしにするには、すのこによる方法と、グレーチング(排水溝のフタ)を敷く方法があります。
浴室の出入り口の段差をなくした場合、脱衣室側に湯水が流れてこないように、出入り口の下部に排水溝を設けて、グレーチングを敷きます。
車いすでの利用での利用を考慮して、グレーチングはT型バー状で、排水溝の長手方向に平行に組み合わせたものを用います。
すのこによる方法
トイレのバリアフリー
トイレは寝室の近くに設置します。
出入口の幅は750mm以上で、車いすを利用する場合は800mm以上必要です。
扉は引き戸で、トイレの中で倒れてしまうことを考えて、外から鍵が開けられるようにしておきます。
トイレの大きさは、長辺の内法寸法が1,300mm以上で、介助が必要な場合は、前方または側方に、便器と壁との距離が500mm以上必要になります。
手すりは、L字型が立ち上がりやすく、縦:800mm、横:600mm、外径:28~35mm程度が目安です。
キッチンのバリアフリー
車いすの方が使う場合、キッチンのワークトップの高さは740~800mmです。
シンクを浅くして、膝が入るスペースを確保します。シンクの深さは、通常170~210mmですが、車いすの方が使う場合は120~150mmにします。
水栓は、洗面所などと同じく、手を差し出すと水が出る自動水栓や、操作が簡単で握力の弱い方にも使いやすいシングルレバー式の混合水栓がおすすめで、さらに、シンクが浅いので、水の飛び散りを防止するため、泡沫水栓にします。
【住宅のバリアフリー③】洋室と和室の段差、扉、照明はこちらをご覧ください