インテリアコーディネーター試験の試験範囲に「インテリアの歴史に関すること」があり、そこでは西洋の建築・インテリアについて出題がされます。
ゴシックやバロックっていう言葉は聞いたことがあるけど、違いがよく分からないかも。
西洋の建築様式については、言葉は知ってるけど、どんな特徴があるのか分からないという方は多いと思います。
西洋の建築は世界史を知っていると、理解が深まりてますが、そこまで深く勉強する時間はないので、ここではインテリアコーディネーター試験に必要な最低限の知識をまとめました。一つずつ特徴を見ていきましょう。今回は古代~中世編です。
まずはじめに全体の流れを見てみましょう。
西洋の建築様式(古代~近世)
古代:ギリシャ、ローマ
中世:ロマネスク、ゴシック
近世:ルネサンス、バロック、ロココ、ネオクラシシズム
それぞれ、聞いたことがある言葉ですが、つながりがよく分からないので、順番を覚えるのは大変だと思います。でも、どんな方法でもいいの覚えましょう。
覚えられない方に語呂合わせを考えました。「キロロのゴールは六甲ね」
(kiroroを知っていますか。今は音楽の教科書に載っているのでしょうか。六甲は関西以外の方には馴染みはないでしょうか。)
ギリシャ時代
都市国家ポリス(アテネ・スパルタなど)が栄えたのが、ギリシャ時代です。
ギリシャの代表的な建築物はパルテノン神殿(大理石による石造建築)です。
この時代、柱には3つのオーダー(柱の構造)、ドリス式、イオニア式、コリント式が使われています。
また、この時代の椅子クリスモスは「婦人の椅子」と言われていました。
ローマ時代
カエサル(シーザー)やクレオパトラがいた時代です。
戦争で獲得した奴隷を働かせて大農場経営をしたり、闘技場で奴隷を戦わせたりしていました。
ローマ時代はローマンコンクリートが使われるようになり、アーチ構造などの建築技術が発達しました。
代表的な建築物はローマのパンテオン(パンテオンとう名前の建物はパリにもあります)、コロセウム(コロッセオ)、カラカラ浴場などです。
この時代の上流階級の人の家をドムスといいます。アトリウムの天井には開け放たれて天窓があり、ペリスチリウムとよばれる中庭がありました。装飾は、フレスコ壁画と床のモザイクタイルです。
ビザンチン様式
ローマ帝国が東西に分裂して、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)ができました。現在のトルコ・イスタンブールに首都コンスタンティノープルがありました。
ギリシャ・ローマ文化に東方文化が融合した文化です。
代表的な建築物はドームが印象的なハギアソフィア大聖堂です。
教会建築にバシリカ式と集中式が登場しました。
バシリカ式
長方形の集会所。身廊(しんろう)の左右に側廊(そくろう)があり、柱で区切られる。
集中式
中心にドームがあり、形は円形、正方形、正六角形などの多角形。
イスラム様式
15世紀、オスマン帝国(イスラム国家)がビザンツ帝国を滅ぼし、イスタンブールはオスマン帝国の都として発展しました。キリスト教の教会だった聖ソフィア聖堂は、イスラム教の礼拝堂モスクに改装されました。
オスマン帝国は領土をどんどん拡大し、それと同時にイスラム教文化も進展し、モスク(礼拝所)が各地につくられました。モスクの特徴は、尖塔と円形ドームです。
イスラム教は偶像崇拝禁止のため、アラベスク文様(幾何学模様、文字装飾)が発展しました。
アーチ構造が発展し、種類が増えました。
ロマネスク様式
ローマ帝国が東西に分裂して、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)と西ローマ帝国ができました。東ローマ帝国は1000年以上続きましたが、西ローマ帝国は割と早くに滅亡してしまいました。ゲルマン民族大移動がこの時代です。
混乱した時代だったので、キリスト教に救いを求める人が増え、キリスト教の教会がたくさん建てられ、聖地巡礼が流行りました。ロマネスク様式は、キリスト教を中心に発展していきました。
ロマネスクはローマ風という意味で、厚い壁、堅牢な石造、柱のオーダー、半円アーチ、交差ヴォールトが特徴です。
ヴォールト:アーチを筒状に連ねたもの
交差ヴォールト:ヴォールトを直交に組み合わせたもの
ゲルマン民族は高い建築技術を持っていなかったので、ローマ時代の建物を真似たり、厚い石造りの壁で強度を保っていました。壁の強度を保つため、大きな窓を確保すことは難しかったようです。
ゴシック様式
ゴシックは12世紀頃からヨーロッパで栄えた様式です。ロマネスクに比べて、建築技術が向上しました。
ゴシックの特徴は、そびえ立つような大聖堂です。代表的な建築物はノートルダム大聖堂です。ノートルダム大聖堂は2019年火災に遭い、現在、再建中です。
ゴシック様式の特徴は尖頭(せんとう)アーチ、リブヴォールト、フライングバットレスです。この3つの建築技術で、高くて窓の大きい建物の建築が可能になりました。
- 尖頭アーチ:半円アーチ(ロマネスク)より開口部の強度アップ。見た目も軽やか
- リブヴォールト: 交差ヴォールト(ロマネスク)にリブ(筋)をつけて補強
- フライングバットレス:壁の外側から支える梁(はり)
天井が高く、窓が大きくなったので、室内が明るくなりました。大きい窓に、ステンドグラスが多く使われるようになりました。バラ窓はステンドグラスがはめ込まれた円形の窓です。
尖頭アーチに似た言葉で尖塔があります。同じ読み方なので、紛らわしいですよね。
続きの近世編はこちらです。
暗記編~ロマネスク・ゴシック・ルネサンス・バロック~はこちらです