人間の身体的な特徴を考慮して使い勝手を良くしたり、作業環境がよくなるよう考えたりする学問を、人間工学(エルゴノミクス)といいます。
人間工学の対人距離は、2020年のインテリアコーディネーターの1次試験で出題されました。
今年度も続けて出題される可能性は低いかもしれませんが、キーワードになる名称は覚えておきましょう。
しかくしか
家具を置くときは、距離と配置が大切になるんだね
エドワード・ホールの4つの対人距離
エドワード・ホール(アメリカの文化人類学者)が人と人とのコミュニケーションの距離を4つに分類しました。
人間は、意識的に、または無意識に、相手との適切な距離を取ろうとしています。
家具を配置する際、対人距離に配慮して、距離や位置を決めることが大切です。
密接距離 【0~45㎝】 | ごく親しい人との距離。 相手に容易に触れることができます。 他人が密接距離に入ると不快に感じます。 |
個体距離 【45~120cm】 | 手を伸ばせば届く距離。 相手の表情がよく分かります。 |
社会距離 【120~360cm】 | 手が届かない距離。 知らない人やビジネスでの距離です。 |
公衆距離 【360cm以上】 | 講演会など「公的な関係」のときの距離。 |
パーソナル・スペース
ロバート・ソマー(環境心理学者)は対人距離の考えを発展させて、パーソナル・スペースを定義しました。
パーソナル・スペースは、他人に侵入されたくないと感じる心理的な領域(なわばり)のことです。
この領域は個人で差がありますが、男性と女性でも差があります。
男性は、他人が前方にいると不快に感じるため、パーソナル・スペースは前方に向かって長くなっています。
女性は、周囲全体、特にななめ前方にパーソナル・スペースが必要です。
ソシオペタルとソシオフーガル
ハンフリー・オズモンド(カナダの精神科医)は家具の置き方によって、コミュニケーションが取りやすくなる集団の形と、そうでない形があると提唱しました。
ソシオペタル(求心的):コミュニケーションが取りやすい状態
ソシオフーガル(遠心的):プライバシーを確保する状態
覚え方