インテリアコーディネーター試験【西洋の建築・インテリア④　近代編】

今回はインテリアコーディネーター試験で出題される「西洋の建築・インテリア」の近代編です。

この時代は、さまざまな場所で色々な造形運動が興ります。これらの活動はお互いに影響し合いながら発展し、現在に繋がっていきます。

西洋の建築・インテリア年表（近代）

アーツアンドクラフツ運動

イギリスの詩人・思想家・デザイナーのウィリアム・モリスが、アーツアンドクラフツ運動の中心人物です。ウィリアム・モリスは植物の壁紙で有名です。

当時のイギリスは産業革命の影響で、大量生産で安価な粗悪品が出回っていました。こうした状況に反対して、中世の手仕事ならではのよさを見直し、生活と芸術の調和を考える運動が興りました。

この運動はアール・ヌーヴォー、ゼツェッション（ウィーン分離派）に影響を与えます。さらに、日本の柳宗悦（やなぎ むねよし）はこれらの運動の影響を受けて、「用の美」を啓発する民藝運動を展開します。

アール・ヌーヴォー

アール・ヌーヴォーはフランス語で「新しい芸術」という意味です。

アール・ヌーヴォーは植物などの有機的なモチーフや流れるような曲線が特徴で、そのような特徴の家具を扱っていたお店が名前の由来です。このお店では日本の美術品も扱っており、浮世絵の構図や筆使いもアール・ヌーヴォーに影響を与えたと考えられています。

ベルギーやフランスを中心にヨーロッパ全土に広がり、分野は建築、絵画、工芸品など多岐にわたります。

デザイナーズチェアについてはこちら

シカゴ派

1871年のシカゴの大火災の復興の際に、鉄骨造の高層ビルが建てられました。代表的な建築家は、ルイス・サリバンです。

高層ビルはラーメン構造（柱と梁（はり）を剛接合(溶接など一体化)している構造）で建てられました。ラーメンはドイツ語で「フレーム」という意味です。

日本でも活躍する建築家のフランク・ロイド・ライトも影響を受けました。

ゼツェッション（ウィーン分離派）

初代会長は画家のグスタフ・クリムトです。保守的な芸術家の組織から分離して、新しく自由な表現を目指して活動をしました。

ドイツ工作連盟

建築家のヘルマン・ムテジウスが中心となって活動。

アーツアンドクラフツの影響を受け、産業製品に芸術性と実用性を求めました。ドイツ工作連盟は工業デザイン（インダストリアルデザイン）の始まりとなっています。

ブルーノ・タウトはのちに来日して、桂離宮を評価した本「日本美再発見」を著し、日本文化の再評価に貢献します。

デ・ステイル

中心メンバーは画家のピエト・モンドリアンです。線と面による幾何学的・抽象的なデザインと、三原色（赤・青・黄）が特徴です。

バウハウス

アーツアンドクラフツ運動の流れをくむ、美術や建築などの造形学校で1919年に設立されました。ナチスの弾圧により、1933年に閉校しました。

初代校長はヴァルター・グロピウスで、基本理念は「芸術と技術の新たな統一」です。グロピウスがデザインしたバウハウスの校舎は機能的で合理的なモダニズム建築の代表的な建造物です。

近代建築の三大巨匠のミース・ファン・デル・ローエも校長を務めました。
（あとの二人はル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト）

アール・デコ

1910～1930年代に、ヨーロッパやアメリカで流行した様式です。

1925年のパリ万博の正式名称「現代産業装飾芸術国際博覧会」の装飾芸術（アール・デコラティフ）が名前の由来です。

アール・デコは幾何学的・直線的なデザインが特徴です。

20世紀に入って経済活動が活発になるようになり、超高層のオフィス用のビルが求められるようになりました。

ニューヨークのクライスラービル、エンパイアステートビル、ロックフェラーセンタービルが有名です。

まとめ

近代の西洋の建築・インテリアに関しては、デザイナーズチェアや近代建築の三大巨匠（ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエ）などと絡めて、複合的な問題として出題されることがあります。造形運動の名称とその特徴、中心メンバーは覚えるようにしましょう。

アールヌーボーとアールデコは名前が似ていて紛らわしいので、注意してください。