人間工学は家具にも応用されているよ
家具
人間工学的に家具を分類すると、「人体系家具」「準人体系家具」「収納系家具」に大別されます。
人体系家具
椅子やベッドなど、人の体を支える家具を人体系家具といいます。
アーゴノミー系家具ともいいます。
人が長時間、直接、触れるものなので、人体寸法や強度、素材などを考慮します。
ergonomy(アーゴノミー)も、ergonomics(エルゴノミクス)も人間工学という意味です。
準人体系家具
デスクや机など、物を支えたり、その上で作業したりする家具を準人体系家具といいます。
セミアーゴノミー系家具ともいいます。
収納系家具
棚やタンスなど、収納や遮断するための家具を収納系家具といいます。
シェルター系家具ともいいます。
ポピュレーションステレオタイプ
人間の動作や行動を集団としてまとめて観察すると、多くの人間に共通した傾向やパターンを見ることができます。
これを、ポピュレーションステレオタイプと呼びます。多くの人が集まる公共空間の設計では、ポピュレーションステレオタイプに配慮することも大切です。
右利きの人は、ドアノブを無意識に右手でつかみ、右回しにします。ネジやペットボトル・瓶のフタは左回しでゆるんで、右回しで締まります。赤色の蛇口からはお湯が、青色の蛇口からは水が出ることは、感覚的に分かっています。
ポピュレーションステレオタイプはインテリア計画や設計、機器の操作などにかかわってきます。
しかし、ポピュレーションステレオタイプは地域や文化、民族によって異なります。
シングルレバー水栓は、レバーを上げると水がでる「上げ吐水(下げ止水)式」と、レバーを下げると水が出る「下げ吐水(上げ止水)式」がありました。
水は上から下に流れるので、レバーを下げたときに水が出る方が、人間工学的に自然な感覚で操作することができます。
しかし、落下物が蛇口に当たったり、ペットが蛇口にのったりして、水が出しっぱなしになることを想定すると、レバーを上げたときに水が出る方が安全です。
日本では、阪神淡路大震災をきっかけに、安全性を重視して、レバーを上げたときに水が出て、下げたときに止る「下げ止水方式」に統一されました。
安全設計
安全のための対策には、「フールプルーフ」と「フェールセーフ」などがあります。
フールプルーフ
ミスをしても危険が生じなかったり、そもそもミスが発生しないように設計することを、フールプルーフ(foolproof)といいます。
例えば、電子レンジは、扉をちゃんと閉めないと動かないように設計されています。
フールプルーフは直訳すると「誰にでもできる、失敗の余地のない」という意味です。
覚えにくい言葉ですが、プルーフは水耐性のウォータープルーフと同じなので、耐えるとか防ぐという意味もあります。使い方を知らない人が使っても、ミスから防ぐという風にイメージすると覚えやすくなるのではないでしょうか。
フェールセーフ
ミスが発生しても、安全側に向かうように設計することを、フェールセーフ(fail-safe)といいます。
例えば、高齢者が転倒する場合を想定して、床には弾力性のある素材を使っておくと安心です。